こんにちは、りんごナースです。

申し送りって、何から話せばいいんですか……。
毎回、頭のなかがぐちゃぐちゃになります。
わかります。わたしも、新人のころはそうでした。
今日は、申し送りがこわかった話と、いまならこうするという話を書きます。
最後に、AIを使った練習のしかたも紹介します。

先輩の「はい」だけが、こわかった
わたしが新人のころ、申し送りはナースステーションで口頭でした。
一人にかける時間は、人それぞれです。
いちばんこわかったのは、先輩の反応が薄いときでした。
話していても、うなずきもない。
自分がろくでもないことを伝えている気がしてきます。
「はい」しか言われなかったときも、なんだかこわかった。
何も言われないのが、いちばんこわいんです。
でも、いまなら分かります。
先輩の時間も、有限なんです。
病棟が忙しければ、ゆっくりアドバイスする時間はありません。
新人の話を、じっくり聞いてあげることもできない。
その態度が、冷たく感じることもあると思います。
でも、それは仕方のないことです。
新人教育も大事ですが、患者さんが最優先だからです。
全部話そうとして、まとまらない
なぜ、何を言えばいいか分からなかったのか。
いま思うと、理由は3つありました。
- 今日あったことを、全部言おうとしていた
- 何が大事なのか、分からなかった
- そもそも、何を伝えればいいのか分からなかった
全部話そうとするから、まとまりがなくなる。
大事なことが分からないから、全部話そうとする。
ぐるぐる回って、結局まとまらないまま終わります。
ほうれん草ちゃんの「ぐちゃぐちゃ」も、たぶん同じです。
先輩の聞き返しが、ありがたかった
反対に、ありがたかったのは、先輩が聞き返してくれたときです。
「これはどうだった?」
「あそこは観察した?」
そうやって聞いてもらえると、何が足りなかったのかが分かります。
アドバイスをもらえたときも、本当にありがたかった。
先輩たちの申し送りは、いつも的確でした。
観察したことから、次の看護へつなげるまでが速いんです。
何を見て、何を考えて、次に何をするか。
それが、短い言葉のなかにちゃんと入っていました。

まずは、先輩の真似から
わたしは、先輩の申し送りを真似するところから始めました。
話す順番や、言い回しをそのまま借りる。
それから、絶対に伝えなければいけない数値だけは、押さえるようにしました。
あとは、回数を重ねるしかありませんでした。
でも、いまなら、もう少し近道があると思います。
申し送りには「型」があります
申し送りや記録には、決まった型があります。
わたしが働いていた病院では、「SOAP(ソープ)」を使っていました。
| 意味 | 伝えること | |
|---|---|---|
| S | Subjective(主観的データ) | 患者さんが話したこと、訴え |
| O | Objective(客観的データ) | バイタルサイン、検査の値、観察したこと |
| A | Assessment(アセスメント) | SとOから、自分はどう考えたか |
| P | Plan(計画) | 次に何をするか、何を見てほしいか |
たとえば、こんなふうに使います。
S:「なんだか息が苦しい」と話されています。
O:15時から38.5℃の熱があります。呼吸数は24回、SpO2は94%です。
肺炎で入院3日目、抗菌薬を使っています。
A:肺炎が悪くなっているかもしれません。
P:夜間は2時間ごとに呼吸状態とSpO2を見てください。先生には報告ずみです。
この順番で話すと、聞く側は「何が起きて、どう考えて、次に何をするか」がすぐ分かります。
先輩たちの申し送りが的確だったのは、この流れが頭に入っていたからだと思います。
全部話さなくていい。
この4つの順番に、大事なことだけ入れればいいんです。
いまなら、AIで練習できます
わたしのころは、練習の相手は本番だけでした。
でも、いまはAIを相手に、家で予習ができます。
AIに先輩役をしてもらって、申し送りのロールプレイができるんです。
うらやましい世の中だなと思います。
先輩の時間をたくさんはもらえないからこそ、家での練習が役に立ちます。
使うのは、ChatGPT、Gemini、Claudeなどのチャット型のAIです。
どれも無料で始められて、スマホのアプリでも使えます。
音声で会話できるAIなら、声に出して申し送りの練習もできます。
始める前に、大事な約束が3つあります。
- 本物の患者さんの名前や情報は、絶対に入れない(練習は必ず架空の患者さんで)
- AIは間違えることがある。正しいかどうかは、病院のマニュアルや先輩に確認する
- 職場によっては、AIの使い方に決まりがある。仕事の端末で使うときは、まず確認する
この3つを守れば、AIはとても心強い練習相手です。

そのまま使えるAIへの頼み方5つ
ここからは、そのままコピーして使える頼み方です。
[ ]のところは、自分に合わせて書きかえてください。
① 先輩役になってもらう
いちばんのおすすめです。AIが先輩になって、聞き返してくれます。
あなたは病棟の先輩看護師です。わたしは新人看護師です。
[消化器内科]の病棟で、申し送りの練習をしたいです。
1. 架空の患者さんの情報を1人分つくってください。
2. わたしがSOAPの順番で申し送りをします。
3. 先輩として、足りないところを「これはどうだった?」と1つずつ聞き返してください。
4. 最後に、よかった点と直す点を1つずつ教えてください。
やさしく、でも本番のつもりでお願いします。
② メモをSOAPに並べかえてもらう
話したいことがバラバラなときに使います。架空の内容で練習してください。
次のメモを、申し送り用にSOAPの順番に並べかえてください。
そのうえで、申し送りで言わなくていいものがあれば、理由と一緒に教えてください。
[メモ:朝から食欲がない、昼は半分食べた、14時に38.0℃、トイレ歩行は自立、
「だるい」と言っている、家族が夕方に来る予定、点滴は18時に交換]
③ 「何が大事か」を見分ける練習
新人のころのわたしが、いちばん欲しかった練習です。
架空の患者さんの「1日の出来事」を10個、ばらばらに書いてください。
わたしが、申し送りで必ず伝えるべきものを3つ選びます。
答え合わせをして、なぜそれが大事なのかを教えてください。
④ 先輩が聞き返しそうなことを予想する
申し送りの前に、自分の内容を見直すときに使います。
次の申し送りを聞いた先輩看護師が、聞き返しそうな質問を5つ挙げてください。
それぞれ、どう答えればいいかのヒントもお願いします。
[ここに、架空の申し送り文を貼る]
⑤ 受け持つ前に、観察のポイントを予習する
病気ごとに、申し送りで外せない数値や観察を整理できます。
[心不全]で入院している患者さんを受け持つ新人看護師です。
申し送りで必ず伝えるべき数値と観察項目を、SOAPに分けて教えてください。
それぞれ、なぜ大事なのかも一言ずつお願いします。
⑤で出てきた内容は、そのまま信じずに、病院のマニュアルや教科書で確かめてください。
AIは、正解をくれる先生ではありません。
何度でも付き合ってくれる、練習相手です。
AIを仕事に使う話は、こちらにも書いています。

今日の小さなごほうび
申し送りが終わったら、ロッカーで一息。
帰り道のコンビニで、ホットのミルクティーを買います。
両手で持って、ゆっくり飲む。
緊張でかたまっていた肩が、少しずつほどけていきます。

最初からうまく話せる人なんて、いないよ。
今日の「あっ、言い忘れた」は、明日の申し送りの材料だからね。
まずは、SOAPの4文字を覚えるところから。
今日もおつかれさまでした。

