看護師の勉強会は、月に1〜2回。避けては通れない行事です。
そして資料をつくるのは、たいてい3〜4年目の看護師。
わたしが働いていた頃は、共有フォルダから過去の資料を探して、ネットで調べて、パワポで作る。それが当たり前でした。
しかもその作業をしていたのは、たいてい勤務が終わったあとの時間です。勉強時間なので、残業代もでないです。
でも、今のわたしだったら、AIとCanvaを使って、見やすい資料を短時間で作れる自信があります。
この記事では、その手順をそのまま書きます。
なぜ、勉強会の資料作りは終わらないのか
先に、原因のほうから。ここが分かると、あとの手順が「なぜそうするのか」まで腑に落ちます。
原因① テーマが広すぎて、どこで終わりか分からない
「心電図の見方、お願いね」
……はい。どこからですか。
P波と QRS の説明から入るのか、危険な波形だけに絞るのか。
急性期の病棟にいると、心電図はほぼ毎年テーマに上がります。
それなのに毎回「どこまでやるか」が決まっていないまま調べはじめるので、調べても調べても「まだ足りない気がする」状態が続きます。
原因② いちばん長いのは「探している時間」
共有フォルダの奥のほう。先輩の私物USB。去年の担当者に聞く。ようやく出てきた資料は数年前のもので、参考文献の年度が古い。
心電図のように毎年まわってくるテーマほど、「去年の資料、あるはずなんだけどな」が始まります。あると分かっているのに見つからない。これがいちばん消耗します。
この時間、資料作りとしてはカウントされないのに、確実に体力を持っていきます。

最短ルートの3ステップ(合計およそ1.5時間)
| ステップ | やること | 目安 |
|---|---|---|
| STEP1 | テーマを1文に絞る | 15分 |
| STEP2 | ChatGPTに構成と原稿を依頼 | 15分 |
| STEP3 | Canvaでスライドに流し込む | 30分 |
| 仕上げ | 読み直して直す | 30分 |
STEP1 テーマを「1文」に絞る(15分)
3つの空欄を埋めてください。
この勉強会は、[誰が] が、[何を] 知って、[どうなる] ようになるための会です。
たとえば心電図がテーマなら、こうなります。
この勉強会は、新人〜3年目の病棟スタッフ が、モニター心電図で見逃してはいけない波形 を知って、迷ったときに、ためらわず先輩を呼べる ようになるための会です。
「心電図が読めるようになる」ではなく、「呼べるようになる」。
この1文がないままAIに「心電図について教えて」と投げると、教科書をそのまま薄くしたような資料が出てきます。正しいけれど、誰の役にも立たない資料になってしまいます。
逆に、この1文さえあれば、あとの作業はほぼ流れ作業になります。時短の本体は、実はAIの手前にあります。

STEP2 ChatGPTに構成と原稿をお願いする(15分)
ここからが本番です。使うのは無料の範囲で大丈夫です。
コピペして使えるプロンプトはこちら↓
【 】の中を、あなたのテーマに置き換えてください。
あなたは、急性期病院の病棟で勉強会の資料をつくる看護師です。
以下の条件で、勉強会のスライド構成をつくってください。
■ この勉強会の目的
【新人〜3年目の病棟スタッフ】が、【モニター心電図で見逃してはいけない波形】を知って、
【迷ったときに、ためらわず先輩を呼べる】ようになること。
■ 条件
・持ち時間は20分
・スライドは全部で10枚
・1枚につき、スライドタイトルと、本文を3行以内で
・専門用語には、一行で短い補足をつける
・最後に「明日からできること」を1枚入れる
■ 出力形式
スライド番号/タイトル/本文(3行以内)/話すときのメモ(2〜3行)
最後の「話すときのメモ」がポイントです。発表用の台本まで一緒に出してもらうと、あとで原稿を書き直す作業がまるごと消えます。
AIが出したものは、下書きであって完成品ではありません。
- 自分の病院の手順書と突き合わせる。 モニターのアラーム設定も、誰にどう報告するかのルールも、病棟ごとに違います
- 波形の画像は、AIに描かせない。 心電図の波形は、それらしく見えて実際には成立していない図が出てきます。図は院内の教材か、出典のはっきりした資料から
- 参考文献はAIに出させない。 存在しない論文を作ってくることがあります。出典は自分で一次情報にあたって、自分で書く
「AIに任せる」のではなく、「たたき台を出させて、自分が確認する」。この線引きだけは、崩さないでください。
STEP3 Canvaでスライドに流し込む(30分)
原稿ができていれば、ここからはもう作業です。
流し込む順番を固定する
表紙 → 目次 → 本文 → まとめ → 参考文献。
この順で、上から埋めるだけ。迷う時間をなくすために、順番はいつも同じにしておきます。
見やすくなる3つのルール
- 1枚に、言いたいことは1つだけ。 2つ入れたくなったら、スライドを分ける
- 文字は24pt以上。 後ろの席から読めるかどうかが基準です
- 色は3色まで。 背景・文字・強調の3つ。強調色は、本当に大事な1箇所にだけ
この3つを守るだけで、見た目は勝手に整います。センスの問題ではありません。
病院のパソコンでCanvaが開けないとき
これ、けっこうあります。
CanvaはPowerPoint形式(.pptx)で書き出せるので、ファイルにして持っていけば大丈夫です。
必ず、発表に使うパソコンで一度開いて確認してください。
なお、私物のパソコンやUSBの持ち込みについては、病院ごとにルールが違います。作りはじめる前に、自分の職場のルールを確認しておくと安心です。
よくある質問
ここまで読んで、引っかかったところがあるかもしれません。
わたしがよく聞かれることを、まとめておきます。
とくに、はじめのふたつは大事な話です。
病院のパソコンでChatGPTを使ってもいいのか
まず、職場のルールを確認してください。
外部のサービスへの接続を禁止している病院はあります。
勝手に使って、あとから問題になるのはつらいです。
自宅のパソコンやスマホで下書きを作って、できた資料だけ持っていく。これがいちばん安全だと思います。
患者さんの情報を入力してもいいのか
これは、絶対にやめてください。
入力した内容が、どこにどう保存されるのかは分かりません。
氏名、ID、生年月日、病棟名。ぜんぶ入れないでください。
そもそも勉強会の資料に、実在の患者さんの情報は要りません。
症例を扱うなら、年齢も性別もぼかした架空の設定にしてしまいましょう。
無料版だけで足りるのか
足ります。
今回の使い方は、構成と台本のたたき台を出してもらうだけです。
有料版のほうが速いですが、なくても困りません。
Canvaは無料で使えるのか
無料で使えます。
テンプレートの一部は有料ですが、無料のものだけでも十分きれいに仕上がります。
王冠のマークがついているものが有料です。そこだけ避ければ大丈夫。
AIを使ったと勉強会で言うべきか
言わなくても問題ありません。
でも、聞かれたら隠さなくていいと思います。
中身を確認して、病棟に合わせて直したのは自分です。
何で下書きを作ったかより、内容が正しいかどうかのほうが大事です。
パソコンと資料づくりの話は、こちらにも書いています。


AIで申し送りを練習する方法も、こちらに書きました。

AIは「任せる相手」ではなく「相棒」
手順をもう一度だけ。
- テーマを1文に絞る
- AIに構成と台本を出させる
- Canvaで整える

資料作りがしんどいのは、まっさらな画面の前で、ひとりで0から悩んでいる時間がいちばん長いからだと思います。
だから、0から1にするところは、AIに手伝ってもらっていいんです。
たたき台さえ出てくれば、
「うちの病棟なら、この波形は先輩に報告してからだよね」「新人さんはここでつまずくから、1枚足そう」
など、現場を知っている人にしか書けないことを足していってください。
0→1はAIと。1から先は、あなたの知識と、あなたの病棟の事情で。
そうやって付け足していったほうが、ひとりで0から10まで抱えて作った資料より、きっといいものになります。
だからAIは、丸ごと任せてしまう相手ではなく、一緒に考えていく相棒です。夜中に付き合わせても、何度聞き直しても、いやな顔をしない相棒です。

ひとりで0から悩まなくていいの。
AIを使うことは悪いことじゃないと思うわ。
今日もおつかれさまでした。


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