こんにちは、りんごナースです。
定時で帰れた日を、思い出せますか。
わたしは、思い出せません。
ほとんど、なかったからだと思います。

定時の前は、なぜか全部が重なります
時計を見ます。定時の5分前。
受け持ちの記録も、だいたい終わっています。
今日は帰れるかもしれない。
そう思った日にかぎって、こうなります。
急変。緊急入院。夕方になって不穏になりそうな人。
そして、外来を終えた先生が、これから大きな処置をすると言い出す。

ひとつでも足りるのに、なぜか同じ時間に来ます。
どれも、自分では止められません。
要領の問題でも、段取りの問題でもない。
患者さんの都合は、定時に合わせてくれないからです。
気づくと、定時はとっくに過ぎています
対応が終わります。
そこから、記録です。
日中に書けなかったぶんが、まるごと残っています。
急変の記録は、とくに時間がかかります。
何時に何をしたか、思い出しながら打ちます。
画面から目を上げると、21時。

正直、こういう日は心が折れます。
大変だった、というより、終わらない。
でも、ひとりで残ってはいませんでした
ここからが、今日いちばん書きたいことです。
こういう日、必ず誰かが来ます。

何が残ってる?
何かできることある?
この一言に、何度も救われました。
もちろん、代わってもらえないこともあります。
自分の受け持ちの記録は、自分にしか書けません。
それでも、聞かれるだけで違いました。
見られている、ではなく、見てもらえている。
同じ状況でも、そう思えると持ちます。
先輩は、待っていてくれました
リーダーの先輩は、わたしの記録が終わるまで帰りませんでした。
毎回です。
先輩自身の仕事は、とっくに終わっています。
それでも、ステーションに座っていました。
急かされたことは、一度もありません。
「まだ?」と言われたこともない。
ときどき顔を上げて、こちらを見て、また自分の手元に戻る。
そのくらいの距離で、ただ座っている。

そして、終わったころにこう言います。

よし、終わったね。
一緒に帰ろうっか。
そこから、一緒に病院を出ます。
それだけのことです。
でも、あの「それだけ」に、ずいぶん助けられました。
新人をひとりで残して帰れない。
何かあったときに、誰もいない状態にはできない。
たぶん、そう考えていたのだと思います。
でも、そんな説明を先輩から聞いたことはありません。
ただ、座っていただけです。
そして、毎回そうしていました。
白状すると、当時のわたしは気づいていませんでした。
先輩がまだ座っているから、「お先に失礼します」が言えない。
早く終わらせなきゃ、と焦っていたのです。
圧だと思っていたものは、見守りでした。
気づいたのは、ずいぶんあとになってからです。
今度は、こちらから聞いてみる
いま、この記事を読んでいるあなたは、どちらでしょうか。
待ってもらう側なら、焦らなくて大丈夫です。
先輩は、あなたが遅いと思って座っているわけではありません。
待つ側になっているなら、ひとつだけ、やってみてほしいことがあります。
「何か残ってる?」と、声に出して聞いてみてください。
黙って待っているだけでは、たぶん圧として伝わります。
わたしがそうでした。
あの一言があるかないかで、意味がまるで変わります。
代わってあげられなくても構いません。
聞くだけで十分に届きます。
記録と中堅の話は、こちらにも書いています。


定時前の緊急入院の話は、こちらに書きました。

今日の小さなごほうび
21時に病院を出た日のことです。
わたしは、コンビニでおでんを買っていました。
大根と、こんにゃくと、たまご。
つゆを多めに入れてもらいます。
家に着くころには少しぬるくなっていて、それがまたいい。
からしを全部出して、ちょっと多すぎて、むせる。
ここまでが一式です。

今日は全部重なった日だったんでしょ。だったら何も悪くないよ。
それに、ひとりじゃなかったんだよね。
まずは座って、あったかいもの食べていってね。
定時では、帰れませんでした。
でも、ひとりではありません。
今日もおつかれさまでした。

